株式会社ヒューマンシステム

島根県への立地について株式会社ヒューマンシステム代表取締役湯野川恵美様にお話をお伺いしました。

飛行機代とか電気代とか家賃補助とか、IT企業にとっては、ずいぶんと魅力的な助成金が用意されていて、本当にありがたいと感じています。また、テクノアーク内に立地したという要因もあるでしょうが、インフラが比較的整っていると思います。私たちの立地に対する考え方は、「遠くて近いところ」が条件でしたので、出雲空港と米子空港の2つの飛行場が使える島根の松江はその条件を十分満たしてくれました。

島根県の魅力は人に尽きると思います。みなさんとても優しくしてくださり、魅力的な人が多いですね。東京ばかりで仕事をしてきたからでしょうか、素直に接して安心できる人が多いのは嬉しいです（笑）また、素晴らしいIT企業の先輩もたくさんいらっしゃるので、地方で仕事を進めるうえでのアドバイスもしてくださいます。当社は、ワークライフバランス認定企業なのですが、仕事と生活のバランスを大切に技術と思いやりをもって仕事をすることを大切に考えています。そうして、技術と思いやりを磨き豊かな人間性を育むというのを社是にしています。そういう意味でも、島根というのは、本当に人としての豊かさがあり、当社にとっても理想的な土地だと感じています。

自社2階の研修室を使って、なにか島根の方々に恩返しできたらと考えています。研修室は、オープンな場として開放できるスペースで、情報共有や現在私が大学院で教えているプロジェクト・マネージメント等の講義をおこなう等を検討しています。島根は、勤勉でまじめで職人気質の方が多い。小規模な開発や作業だけでなく、もっと全体のしくみを考えて課題やゴールを共有する意識や、複雑なものを並列に展開して短期間で作るようなプロジェクト管理の技術などが足りない気がします。加えて、生産性の向上や付加価値をあげるためのしくみづくり「ものづくり+ＩＴシステム」でなにか地元企業に貢献していければと思います。
島根県は、「ご縁」をキーワードにするにもかかわらず、何かを一緒に作り上げていくという部分が弱いと感じるところがあって、プロジェクト・マネージメントもそうですが、他社とのコラボレーションなど工夫の余地があるような印象です。要するにそこが、島根が変わるための源泉となり得る、そこを私たちがフォローしていくことでＷｉｎ－Ｗｉｎの良い関係が築いていけると考えます。直接的に何かするだけでなく、それを実現するための場とコミュニケーション、繋がるための情報の運用等を支援していきたいと思います。
島根と言えば、古くは「たたら」だったり、たくさんの窯元があったりと、ものづくりが発展し、ものづくりを大切にしている土地だと感じます。そういう面を大切にしたビジネスをみなさんと一緒にじっくりと考えていきたい。

島根の人材の多くが、真面目さとか、技術力の高さに反して、全体を知らされることなく各々で作業を進めなければならない部分があって、そのあたりが、元々の技術力が高いので、どうしても「そこまでできるのにもったいない！」と感じてしまうところです。
それでも、実際にこの地に足を運んで、地元のIT関係の人々と会って繋がりを広げていければ、本当に困った時、誰かが手を差し伸べてくれたり、良い人材を紹介してもらえたりします。そういったことが起こるのが島根県というところだと思います。
職人気質の人が多いので、そのへんをうまくコーディネートしていく人材が必要。そういうコーディネーターが育ってくると、島根らしいこだわりや文化の高さが存分に生きてくると思います。ですから、立地企業の方には、その部分を埋めるような工夫があると良いのではないか？と考えます。
それと、IT系の学校が少ないので、育成を含めた長いスパンでものが見られるような企業がいいと思います。島根には、まだまだ沢山の優秀な人材が埋もれています。どうやってそれを発掘して育てていくか？を考えられるような、ベンチャーのように、すぐに結果を求めるようなスタイルではなくて、島根という土地にしっかりと根をおろして、10年先20年先を視野に入れた仕事のあり方が考えられる企業が合っているように感じています。

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