立地企業インタビュー

立地企業インタビュー

トップページ立地企業インタビュー加茂精工株式会社(出雲工場)

加茂精工株式会社(出雲工場)

今瀬玄太 代表取締役今瀬玄太 代表取締役

愛知県豊田市に本社を構え、機械要素部品の開発、製造、販売を行う加茂精工株式会社。2020年6月、会社のさらなる発展を目指し、第2の生産拠点として島根県出雲市に出雲工場を設立されました。
今回は代表取締役の今瀬社長に、島根県へ立地することとなった経緯、立地して良かったと感じること、今後の事業展開などについてお話を伺いました。

1.御社の事業内容と出雲工場の位置づけについてお聞かせください。

自社一貫生産できる基幹工場

主力となるトロイドカムギヤ(TGC)シリーズ主力となるトロイドカムギヤ(TGC)シリーズ

弊社は、機械を構成するための機械要素部品を開発・製造・販売している会社です。全ての商品が加茂精工独自で開発したオリジナルのもので、世界でオンリーワンの機械要素部品を扱っています。
私たちの作った機械要素部品は、液晶パネル・電気自動車・リチウムイオン電池など私たちの身のまわりにある製品を製造するための機械装置に組み込まれていて、目に見える部分ではないですけど、縁の下の力持ちとして世界のものづくりに貢献しています。

中でも、弊社が開発したトロコイドカムギヤ(以下、TCG)は売上の約6割を占める主力商品となるのですが、そのTCGのラックと呼ばれる部分を製造する専用の工場が出雲工場になります。材料から製品になるまで、長い工程が必要になるのですが、この工程を全て自社で一貫生産できるようにしました。
本社工場では、焼き入れの工程は外部の協力会社にお願いしているので、出雲工場は弊社初の「全ての工程を自社内で一貫してできる生産拠点」になります。

2.島根県に進出された経緯についてお聞かせください。

豊田市の3分の2の費用で工場ができるので即決

島根県庁での調印式(2019年6月3日)全島根県庁での調印式(2019年6月3日)

TCGの受注量が増え、売上も伸びてくるにしたがって、工場のスペースが狭くなり、新しい機械などが置けないという問題が出てきました。そこで、本社工場を拡張しようという話になったのですが、市街化調整区域の関係ですぐに拡張できないことがわかり、代わりの場所を探そうということになったんです。
そんな時、島根県の企業誘致を担当されていた方から「島根県なら色んな支援制度もあるので一度見に来ませんか?」とお誘いいただいて、島根に土地を見に行くことになりました。

最初は本社と同じ愛知県内での立地を考えていたのですが、島根県に視察に行って担当者のお話を聞いてみると、島根県に立地すると地価が安いうえに、助成もしていただけるということで、豊田市の3分の2の費用で私たちが作ろうとしている工場ができるということがわかったんです。それで、すぐに島根への立地を決めました。

3.実際に島根県に立地されて良かったと思われる点をお聞かせください。

新工場設立を通じて社員が成長

島根県に工場を作るというプロジェクトは、全く縁のなかった土地で一から作り上げるということで、社員にも不安があったと思います。そんな未知のプロジェクトを実現させることができたことは、個々の担当者の自信や成長に繋がり、会社全体がレベルアップしたと思います。私自身も、2014年に社長に就任して初めての大きな投資で、進出が順調にできたことで経営者としての自信につながったのは大きかったです。

県や市が人材確保までサポート

官民一体となって人材確保支援官民一体となって人材確保支援

豊田市は自動車産業が盛んで、地元の人材は自動車産業に流れてしまうので、なかなか人材確保が難しい場所で、行政がサポートしてくれるということもありません。ところが、島根では県や市が人材確保の部分も支援してくださるので、全く縁がなかった島根でもスムーズに人材を確保することができました。正直なところ、地縁のある豊田市よりも人材確保がしやすいと感じています。
企業立地から人材確保まで、トータル的に県と市がサポートしてくださるのも良かったと思う点ですね。

4.逆に島根県のデメリットと感じられていることをお聞かせください。

物流面での不便さはある

車だと距離を感じることも車だと距離を感じることも

飛行機で移動するには問題ないのですが、車で物を運ぶという物流面では、若干の遠さを感じますね。あと、今は問題ないですが、島根県に機械工具の会社が少ないので、立地当初は機械工具の調達に苦労しましたね。

5.採用にあたって、御社の求める人物像についてお聞かせください。

自分で考えて行動できる人

着実に成長してくれる人材着実に成長してくれる人材

弊社の人事理念は「育てる、繋がる」です。それに基づいた求める人材が
1.熱き夢を抱き、新規有用なるものを創造提案できる人
2.物事をプラスに捉え、変化に対応できる人
3.お互いを認め切磋琢磨し、感謝の心をもつ人
4.周囲を巻き込み、協働・協調できる人
5.現状に甘んじず、一歩先を目指せる人
この5つです。
大切なことは、チャレンジ精神があって、自分で考えて行動できるということですね。出雲工場では、経験者と未経験者合わせて6名ほど採用したのですが、弊社の求めている人材を採用できたと思っています。覚えも早いですし、着実に成長してくれていますね。

6.採用後、島根県の人材の特徴として感じられることはありますか?

真面目だがやや受け身と感じられる面も

自分から色々とやっていこうというよりは、しっかり与えられたものをこなしていこうという、やや受け身な面があるのかなと感じます。ただ、未経験な部分が多くて、まだ自分で考えてやるという段階でないからかもしれません。経験を積んでいくと、自分から意見を言ってくれるようになると思っていますし、そうなってくれないと出雲工場としても独立していけないと思います。出雲工場と豊田の本社工場がお互いに競って切磋琢磨していくような関係になることを期待してます。

7.人材育成に関する考え方や取組についてお聞かせください。

教わる、学ぶ、目標を掲げる、の3軸が人材育成の基本

日々の積み重ねから世界にないものを生み出す日々の積み重ねから世界にないものを生み出す

仕事を覚えるという部分に関しては、基本的にOJTでコツコツと先輩から教えてもらうのがメインとなりますが、外部の研修や座学も受けられるようにしています。また、個人の評価に関しては、人間的なスキルと機械加工技術の両面で評価する「人事考課制度」と、毎年自分自身で目標を立ててもらい、その目標達成に取り組む「目標管理制度」を取り入れています。

先輩から教えてもらうこと、外部から自分で学ぶこと、自分自身で目標をもってやっていくこと、の3つを軸に少しずつ着実に成長してもらえたらというのが弊社の人材育成の考え方ですね。

8.福利厚生などへの取り組み内容や考え方についてお聞かせください。

社員からの要望に合わせて臨機応変に

最初から制度を作るというのはなかなか難しいと思うのですが、例えば、子どもが生まれた社員が産休明けで働くとなった時、時短で働ける制度を設けたり、子どもを保育園に送らないといけないので始業時間に間に合わないとなった時に、始業時間をずらせるような制度を設けたりと、社員から要望が出たタイミングで制度化しています。
個々の事情に合わせて、少しでも社員が働きやすい環境を作れたらと思っています。

9.今後の事業展開、展望についてお聞かせください。

いずれは出雲工場をメイン工場に

最新の機械を導入している出雲工場 最新の機械を導入している出雲工場

まずは出雲工場での生産を軌道に乗せるということがあるのですが、TCGの需要がまだまだ伸びていますし、出雲工場の向かいにはまだ土地があるので、出雲工場の拡大ということも視野に入れて考えています。本社は本社で、新商品の開発を進めていくなど、ものづくりの周辺事業への進出拡大を含めて考えていきたいと思っています。
本社工場にある機械はだんだん古くなっているので、いずれはメインの生産拠点を、最新の機械を入れて自社一貫生産が可能な出雲工場に切り替え、効率よく生産性を上げていきたいですね。

10.島根県民や他の事業者へのメッセージなどあればお聞かせください。

少しでも島根県の発展の力になりたい

島根県の行政の方々も手厚く支援してくださいますし、助成金もしっかり出るので、島根に拠点を作るというのはとても良いチャレンジになると思います。
豊田から出雲に行った社員も住み心地が良さそうですし、私も島根県に初めて行ったのが3年前でしたが、食事は美味しいですし、自然豊かで温泉もあって島根がとても好きになりました。

少子高齢化や人口減少の世の中ですが、少しでも島根が発展する力になれたらと思っております。

会社の基本情報およびお問い合わせ先

出雲工場

会社名:
加茂精工株式会社
所在地:
島根県出雲市小境町1700-2(出雲市東部工業団地内)
本社 :
愛知県豊田市御作町亀割1166番地
連絡先:
TEL:0853-67-9121
URL :
https://www.kamo.co.jp/japan/

(2022年2月取材)

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