立地企業インタビュー

立地企業インタビュー

株式会社ネスター

代表取締役社長 加藤令氏代表取締役社長 加藤令氏

1967年、星崎電機株式会社(現:ホシザキ株式会社)の子会社として愛知県で創業した星崎工業株式会社。

1987年に株式会社ネスターに商号変更し、業務用フードサービス機器の製造を手がけるホシザキグループ企業として事業を拡大してきました。

2023年には創業の地である愛知県から本社機能・工場を島根県に完全移転。拠点統合から1年を経て、生産性の向上や地域との連携強化など、着実な成果を上げています。
同社代表取締役社長・加藤令氏に、事業展開や人材育成、地域貢献への取り組みについて、詳しくお話を伺いました。

1. 御社の事業内容についてお聞かせください。

ホシザキの国内製造会社の一社

国内の製造の要として重要な役割を担う国内の製造の要として重要な役割を担う

当社は国内20社、海外40社を展開するホシザキグループの国内製造を担う4社のうちの1社です。
主にショーケース、ネタケース、再加熱キャビネット、冷水チラーなどのフードサービス機器を製造しており、近年では飲食業の他に、病院や介護施設、社員食堂といった給食施設、ホテルなどの宿泊施設、食品加工工場向け設備の製造も強化しています。

以前は商品開発や営業もネスターとして行っていましたが、グループ全体でさらに効率性や競争力を高めるため、営業機能はグループ内のホシザキ販売株式会社に集約、製品もホシザキブランドに一本化し、ネスターは製造拠点に特化しました。今ではホシザキグループは国内製造の約7割を島根地区で生産しており、当社はグループ内でも重要な役割を担っています。

2. 島根県に進出された経緯、及び島根県に本社を移転された理由についてお聞かせください。

生産性改善を図るため、本社・工場を島根県に集約

生産性向上のため製造ラインを一から見直した新工場生産性向上のため製造ラインを一から見直した新工場

ホシザキグループの創業者である坂本薫俊が島根県の出身であることから、1970年にホシザキ株式会社は島根県に工場を新設し、その後5つの工場を有する島根製造拠点へと拡大していきました。グループ会社である当社も1992年に島根工場を開設しホシザキグループの重要な製造子会社として活動を行っていました。

その状況の中、愛知県にあった本社工場を島根県に移転集約したのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がきっかけです。外食需要の激減に伴い売上も減少し、大変厳しい状況になりました。そこで、生産性改善を図るため、既存の島根工場敷地内に新工場と新事務棟を建設し、愛知県にあった本社工場を閉鎖、島根県へ移転しました。

3. 実際に島根県に本社を移転されて良かったと思われる点をお聞かせください。

生産性の飛躍的な改善、更にBCPや行政の手厚い支援に感謝

「行政の手厚い支援に感謝」と語る加藤社長「行政の手厚い支援に感謝」と語る加藤社長

まず挙げられるのが生産性の改善が進んだことです。愛知県にあった本社工場を島根県に移設する際、製造ラインを一から見直し、既存の第一工場、第二工場も全面的に改修したことで、3つの工場で生産性を最大限に引き上げることができました。目標として掲げていた売上50億円も視野に入っており、2022年頃と比較すると約1.5倍の売上高となっており、結果が数字として表れています。

これらは拠点を集約したことによる効果ですが、その他にも、地震が少なくBCP(事業継続計画)に有利、幹線道路が近いといった、ここ島根県雲南市の地理的条件も、経営上のメリットとして大きいと考えています。

また、行政の支援も手厚く、本社移転の際には愛知県から転居する社員に対して生活面のサポートまでしていただきました。工場の移転には多くの人員の異動も伴いますので、このようなきめ細かい支援は非常にありがたく感じています。

4. 逆に島根県移転でのデメリットと感じられていることをお聞かせください。

物流コスト、外注先の不足が課題

地元企業との連携で物流コスト削減と地域活性化につなげたい地元企業との連携で物流コスト削減と地域活性化につなげたい

我々のような製造メーカーは、外注加工業者に様々な部品を発注する必要があります。しかし、近隣にそれを依頼できる企業が少ないため、加工が難しいものは今でも本社移転前と同様に愛知県から取り寄せており、物流コストがかさんでいます。

幸い、工場の近くに日本通運株式会社様とホシザキグループが共同で運営するホシザキNX倉庫という物流ルートがあるので、それを活用してコスト削減を進めているところですが、ゆくゆくは、島根県内の企業に発注したいと考えています。そうすることで、地域の技術レベルが向上し、取引拡大を通じて双方の収益増加につながる好循環を生み出すことが私たちの理想的な姿です。

5. 採用にあたって、御社の求める人物像についてお聞かせください。

これから伸びて行ける素養を持った人材を採用したい

成長意欲のある人材を積極的に採用中成長意欲のある人材を積極的に採用中

当社では学歴や経歴よりも、「責任感を持って業務に取り組める」「積極的に業務改善を推進できる」「長期的なキャリア形成を目指せる」といった、将来性のある素養を持った人材を求めています。

現在、製造部門の人材確保は比較的順調ですが、経理・人事などのバックオフィス部門や生産技術部門における専門人材の確保が課題となっています。この課題解決に向けて、行政の支援を通じたUIターン採用や学生の県内就職促進に期待を寄せています。

多様な人材獲得のため、当社ではアスリート採用をはじめとする様々な採用施策を積極的に展開しており、こうした取り組みは島根県知事より感謝状を授与されるなど高い評価をいただいております。今後も引き続き、多様な人材の採用・育成に力を入れていく方針です。

6. 島根県の人材の特徴として感じられていることはありますか。

丁寧で真面目。積極的にチャレンジできる人材が増えることを期待

作業が丁寧で真面目な人が多いため、製造業との親和性は高いと感じています。この自然豊かな環境で育まれたものだと思いますが、やや積極性に欠ける側面もあるように感じます。当社は挑戦意欲のある社員を応援する社風ですので、積極的にチャレンジできる人材が増えることを期待しています。

7. 人材育成に関する考え方や取組についてお聞かせください。

ミスマッチを防ぐ取組みと充実した教育制度で、社員の成長を促す

全国から185人が集まったホシザキグループの合同入社式全国から185人が集まったホシザキグループの合同入社式

新入社員教育から階層別教育まで社内外の研修が充実しており、ホシザキグループの高水準な研修プログラムを受講できることは大きな強みです。

現場でのOJTによる実践的な指導や資格取得支援も手厚く整備されており、ホシザキグループ全体で開催される溶接コンテストでは、当社の社員が2年連続でTOP3に入るなど技術力の高さを証明しています。

また、入社後のミスマッチを防ぐため、面接時には工場見学の機会を設けています。さらに、島根県で開催されたホシザキグループの合同入社式に当社新入社員が参加することで、グループの大きさとグループ内での当社の役割を理解して入社後の仕事に役立ててもらっています。

8. 福利厚生などへの取り組みの内容や考え方についてお聞かせください。

多様な視点を活かし、働きやすい環境を社員と作る

2年連続 育児休業取得率100%の働きやすい環境2年連続 育児休業取得率100%の働きやすい環境

ホシザキグループでは早くからES(従業員満足度)活動に取り組んでいたこともあり、当社でも働きやすく、透明性のある環境づくりに積極的に取り組んでいます。ES活動の委員会には色々な職場の若手社員も参加しており、多様な視点でより良い職場環境の実現を進めています。

福利厚生の特徴的な取り組みとしては、年2回の健康診断の実施や、福利厚生サービスを提供するクラブへの加入、メンタルヘルスケアについては状況に応じた複数の相談窓口を設置しており、心身ともに健康に働ける環境づくりに特に注力しています。

また、育児休業取得率は2年連続100%を達成しており、昨年は6人の男性社員が育休を取得しました。このように、男女を問わず安心して長く働ける職場環境を整えています。

9. 地域貢献活動(祭り・イベント等)の内容や方針など取組状況をお聞かせください。

職場体験学習やスポーツ振興等、幅広く地域に貢献

経常利益の1%を地元自治体およびNPO法人等に拠出し、地域社会の発展に役立てていただいています。その他に環境保全活動の一環として、宍道湖ヨシ狩りや清掃活動、エコキャップ回収、清掃活動にも参加しております。

また、キャリア教育支援として中高生や障がいがある方々の職場体験学習を受け入れており、こうした体験を通じて実際の採用に結実するケースも少なくありません。

その他にも、スポーツ振興に力を入れており、スペシャルオリンピックスという、障がいのある人たちにスポーツの競技会やトレーニングの機会を提供する国際的なスポーツ組織の支援などもしています。

10.今後の事業展開、展望についてお聞かせください

業務改善と設備投資で、更なる飛躍を

さらなる設備投資で飛躍を目指すさらなる設備投資で飛躍を目指す

売上は2023年度比1.5倍を目指しています。そのために、2024年度は数億円の設備投資を実施しましたが、2025年度も引き続き数億円投資予定としており、生産性をさらに引き上げます。

今や自動化や生産性向上のための投資は必須となっており、人海戦術だけでは対応できない状況となっています。今後は一人当たりの売上や利益を向上させることで、更なる飛躍を目指します。

11.島根県民や他の事業者へメッセージなどあればお聞かせください。

今後も事業発展を目指す

島根県への移転および工場集約の結果、効率化が進み業績も向上することができました。今後も事業発展を目指していきますので、引き続きご支援いただければ幸いです。

会社の基本情報およびお問い合わせ先

DMG MORI キャステック株式会社

会社名:
株式会社ネスター
所在地:
〒699-1104 島根県雲南市加茂町南加茂703 番地10
連絡先:
TEL:0854-47-7977
FAX:0854-49-8016

(2025年2月取材)

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